格差問題に大きな関心が集まっているのは、働き手自身が雇用における「上流/下流」「勝ち組/負け組」といった二極化を実感させられているからだろう。「格差も悪いことではない」という考え方は一般論として否定すべきではないのかもしれないが、問題は現代社会が直面しているのはただの「格差」ではなく、深刻な「貧困化」を伴うものであり、それがきわめて不合理な差別を含んでいるということにある。富める者の他方の極に生み出されている深刻な「貧困化」とは、いくら働いても自立して生きられない低賃金労働や、生活できる水準の収入を得るために死ぬほど働かなければならない長時間労働の拡大である。
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格差は努力した人としない人の違いだという人もいるが、貧困の極に追いやられる原因をそのように決めつけることはできまい。社会的な偏見や固定観念、慣行や制度によって生み出され、拡大再生産されてきた格差=差別は多く、働き手の自己責任に収斂させることのできない事柄に起因する。こうした差別は可視化されることがないため、なくすことは困難で、不利益をこうむる人たちはいつも自分を責めなければならない。